エリート弁護士は独占愛を刻み込む
涼太に習ってそう答えたら、祖母は面白そうに目を光らせる。
『あら、いつもは恋人なんていませんよって言うのに、今日は違うのね。会うのが楽しみだわ』
祖母はなかなか鋭い。
恋人が出来たとは言っていないのに、彼女は俺にもう意中の女性がいることがわかっている。
『今日ここに来たのはね、みんなにお知らせがあったからなの。十二月二十七日に私の誕生日パーティを開くから来てほしいのよ』
来てほしいと笑顔で言っているが、これは俺たちにとっては命令に等しい。
他の予定があっても出席しろと言っているようなもの。
特に俺は実の孫だから絶対に拒否できない。
『私もいつ死ぬかわからないし、親しい人たちにお祝いしてもらいたいのよ』
祖母は現在八十五歳。
そういう寂しいことを言われると胸が痛む。
だが、俺がそう感じることは祖母はわかっているのだ。
祖母はなかなか頭が切れる。
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