エリート弁護士は独占愛を刻み込む

「ホント、お前にはデリカシーの欠片もないな。口を慎め」
いつの間にか現れた涼太さんが晶さんの頭をボコッと叩き、晶さんが身を屈めて頭を押さえている。
「もう涼ちゃん、痛いわよ。いいじゃないの。イブだっていうのに私だけシングルベルなのよ」
拗ねた顔で言い訳する晶さんに涼太さんは冷たく言い放った。
「そんなの知るか。お前は普段からチャラいのが悪い。誰か好きな奴がいれば真剣に告白しろよ」
涼太さんらしいアドバイスだが、晶さんは聞く耳を持たない。
「あら私はいつだって真剣よ。ただひとりに決められないだけ」
「この節操なし」
その後もふたりの賑やかなやり取りが続く。
「葵、行くよ」
恭吾さんが私の手をまた掴み、晶さんと涼太さんを放置してオフィスに入った。
すると、正一さんがいてどこかぎこちない笑顔で挨拶する。
「おはようございます」
「わっ！」