エリート弁護士は独占愛を刻み込む
ついでにささっとコンタクトとお化粧もしちゃおう。
「はい」
バッグを手に取って返事をしたら、彼がスーツの内ポケットから長財布を取り出そうとしたので止めた。
「後でお金もらうからいいですよ」
「でも、やっぱり上司としての面子もあるから」
そう言って彼は財布から一万円札を抜いて差し出すが、首を横に振った。
「コンビニで一万円札は実用的じゃないです」
「じゃあ、俺のスマホで」
今度は自分のスマホを渡そうとする彼に溜め息混じりの声で返した。
「だから、そんな個人情報満載のものを人にホイホイ預けないでくださいよ」
「別に社用携帯あるし、葵は家族みたいなものだから」
恭吾さんの発言に前の席にいる正一さんが『ええっ!』という驚きの表情で恭吾さんをまじまじと見た。
さらっと言われたけど、恭吾さんすごいこと言ってない?
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