エリート弁護士は独占愛を刻み込む
家族って……。
じわじわと目に温かいものが込み上げてきて……。
マズイ。泣きそう。
「私……行ってきます」と顔を隠し、逃げるようにオフィスを出た。
突き当たりにあるトイレに駆け込み洗面台の鏡を見る。
メガネをしているから目の前がほんのり赤くなってるのはわかりにくいけど、恭吾さんにはすぐにバレそう。
最近、涙腺緩すぎ。
あの人……意識的に言ってるの?
それとも無意識?
どちらにしろ『好きだ』と言われるくらい胸が熱くなる。
それに、彼に守られているような感じがするのだ。
メガネを外して顔を洗うと、コンタクトレンズをつけた。
「早く化粧してコンビニ行かなきゃ」
化粧と言ったら晶さん!
トイレを出ると、晶さんのオフィスに行って、コンコンとドアをノックする。
「はい」という仕事モードの落ち着いた彼の声がして部屋の中に入った。
「晶さん、今大丈夫ですか!ちょっとメイク道具貸してもらいたい……」
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