エリート弁護士は独占愛を刻み込む
晶さんに声をかけたが、彼の姿を見て声を失った。
さっきまでスカートだったのに、今はビシッとスーツを着ている。
女ものじゃなくて男ものの。
うわー、本当に男の人だったんだ。
彼の本来の姿を見るのは初めて。
イケメンでちょっとホストのような危険な色気を纏っている彼の姿をじーっと見てしまう。
なんだか知らない人みたい。
女装の時と違って近寄り難いよ。
「ええと……やっぱりいいです。忙しいですよね?」
出て行こうとしたら、「待て」と腕を掴まれて手前の椅子に座らせられた。
「大丈夫。メイクしていけばいい」
フッと笑みを浮かべ、晶さんはメイクボックスを私の前に置く。
いつもの晶さんじゃないので急に緊張してきた。
「あの……晶さんは今日はどうして男装……男の格好をしているんですか?」
沈黙になるのが怖くて、思いついたことを質問したら、少し冷たい低音ボイスで返された。
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