エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「まあそんなとこ。じゃあ、また明日」
立ち話はせず、恭吾さんは軽くふたりに手を振り、私の手を握って通りでタクシーを捕まえる。
「さあ、乗って」
彼が私の背中を押してそのままタクシーに乗り込む。
恭吾さんも私の隣に座り、運転手に「銀座まで」と行き先を告げた。
彼とイブに一緒にいられるのは嬉しいけど、意外な展開に戸惑っていた。
十五分ほどで、タクシーは銀座にある高級ブランド店SRの前で停車する。
恭吾さんが支払いを済ませると、タクシーを降りて店の中に入った。
ブランド店はいっぱいあるけど、このSRはその最高峰と言っても過言ではない。
私の憧れのブランド。
でも、価格が他のブランドの二〜三倍はするから、キーケースとかの小物を買うのがやっとだ。
バッグやお財布は高過ぎて買えない。
ましてやアクセサリーなんて、夢のまた夢。
なんの躊躇もなく入ってしまう恭吾さんてやっぱりセレブだよね。
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