エリート弁護士は独占愛を刻み込む
恭吾さんみたいな極上男子なんて周りにいなかったもんね。
彼らのやり取りを見ていたら、恭吾さんが少し身を屈めて私の顔を覗き込んだ。
「葵?誰か知り合いでもいた?」
「ううん。なんでもない。プレゼント、時計って感じじゃないから、三階行こうか?」
笑顔を作って恭吾さんの手を引いたら、元彼が彼女を連れてこちらにやってきて、思わずプイと視線を逸らす。
どうか私に気づかないで!
だが、私の願いは通じず、本命彼女が私に気がついて、「あら」と声を上げた。
他人のふりをしたのだが、彼女が元彼と私のことを話しているのが聞こえた。
「よお、葵じゃないか」
元彼と本命彼女は私を馬鹿にしたかったのか、わざわざ声をかけてきた。
自分たちの仲を見せつけたいのだろう。
彼女の方も私を馬鹿にして優越感に浸りたいのだ。
普通なら彼氏に激昂するだろうに。
彼らの心理が私には理解できない。
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