エリート弁護士は独占愛を刻み込む
この人たちは私がいつまでも落ち込んでいると思うのだろうか。
「どうも」とムスッとした顔で返したが、元彼は挨拶だけで終わらず立ち止まって私に話しかける。
「元気にしてるか?お前、噂で丸岩辞めさせられたって聞いたけど」
その面白がるような発言にズキッと胸が痛んだ。
元彼とは丸岩の同僚主催の合コンで知り合った。
彼が私の元同僚からその噂を聞いたとしても不思議ではない。
「転職したの」
無視してもしつこくなにか言ってくると思って、そう言い返した。
「転職した?どこに?」
元彼はさらに聞いてくる。
ああ、もうしつこい。
今度こそ無視してここから離れようとしたら、恭吾さんがギュッと私の手を掴んで代わりに答えた。
「僕のいる法律事務所にですよ」
元彼と本命彼女は初めて恭吾さんの存在に気づいたようでまじまじと彼を見る。
「葵とはどのようなお知り合いなんですか?」
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