エリート弁護士は独占愛を刻み込む

出来れば恭吾さんには知られたくなかった。
人間として尊敬できる人ではないもの。
きっと私以外にも元彼には浮気相手はいたと思う。
「……うん。でも、再会しても全然未練は感じなかったよ。むしろ別れて正解だった」
それは嘘ではない。
そんな風に思えるのもきっと恭吾さんがいるから。
明るく笑って見せたら、彼は優しく微笑んだ。
「葵も成長したね。まあそばに俺がいるしね」
そんな自信満々で言われるとなんだか悔しい気分になる。
だが、本当のことだし、それが恭吾さんだもんね。
「うん。そういえば、恭吾さんの元カノの話って聞いたことないけど、どんな人と付き合ってたの？」
このタイミングで思い切って聞いてみる。
今を逃したらきっと聞く勇気がない。
「同棲するとか、毎週デートするとか、そういう付き合いのできる彼女っていなかったよ」
私の目を見てしっかりと答える彼。