エリート弁護士は独占愛を刻み込む
元々総務課にいたのだけど、秘書課に欠員が出て、総務でキャリアのあった私はその腕を買われて異動。
天宮さんは取引先の社長令嬢ということで丸岩では女王さまのように振る舞っていて、影では『女帝』と呼ばれている。
誰もが天宮さんに媚びへつらい、逆らう者などいなかった。
でも、私は彼女の言いなりにはならなかった。
会社のお金を私物化して、洋服や宝飾品を買ったり、高級レストランで私的に飲食したりする天宮さんを私は許せなくて注意したのだが、彼女は反省するどころか逆に私に嫌がらせをしてきた。
最初は私の担当幹部のスケジュールのデータを書き換えるという地味なものだった。
でも、嫌がらせはエスカレートし、私が手配した弁当やホテルなどを勝手にキャンセルして私を困らせた。
そんなことがあっても私がへこたれずに仕事をしたものだから、彼女は私が丸岩を解雇されるよう企てた。

あれは三週間ほど前のこと。
社食から秘書室に戻ると、天宮さんが『私の財布がない』と騒いでいた。
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