エリート弁護士は独占愛を刻み込む

その時の私は持ってくるのを忘れたか、どこかバッグの底に入っているんじゃないかと軽く考えていた。
でも、彼女は大騒ぎし、周りの秘書も一斉に財布を探すことになり、ついには秘書室にいる子たちの持ち物検査に発展。
私は天宮さんの財布のことなんて知らないし、騒ぎすぎくらいに思っていた。
だけど、天宮さんが私のバッグを調べた時に彼女の財布が見つかって……。
『あったわ！これ、私の財布よ。朝比奈さん、いくら自分が買えないからって同僚の財布を盗むなんて最低ね！』
天宮さんが目を吊り上げて私を非難する。
私が密かにいいと思っていたＳＲの深紅の皮の財布が自分のバッグにあったことにただただ驚いて、動揺しながら彼女に言い返した。
『私は何も知りません！』
何かの間違えだ。
私は天宮さんの財布なんて取らない。
ひょっとしてこれも彼女の嫌がらせ？
そんな考えが頭に浮かび、天宮さんに確認しようとするも、他の秘書たちも皆私を『朝比奈さんて泥棒だったんだ』と言って罪人扱いする。