エリート弁護士は独占愛を刻み込む
店を急いで出て左右を確認したら、左側の大通りを走る彼女の姿が見えた。
雪が吹雪いていたが、コートのボタンを閉める余裕なんてない。
人の波を縫うようにして葵を追う。
少し彼女に近づき、俺は声を張り上げて叫んだ。
「葵、待って!」
俺の声は届いているだろうに彼女は立ち止まらない。
すぐに追いつけると思ったが、彼女も必死なのか、それとも元々足が速いのか、百メートルくらい追いかけているような気がした。
俺も足が速い方だが、さすがに息が乱れてきた。
「葵〜!」
彼女が止まらないのはわかっていたがそれでも叫ばずにはいられなかった。
かなり動揺しているし、事故にでも遭ったら大変だ。
それに、ここで葵を見失ったら、俺は一生彼女に会えないかもしれない。
葵は人通りの少ない路地に入っていく。
胸が苦しかったがさらに加速して葵との距離をつめ、ついに彼女の手を掴んだ。
「葵、もう逃げられないよ」
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