エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「世界中が葵の敵になっても俺は葵の味方だよ」
やっと俺を見た。
「敵じゃ……ない?」
ハッとした顔をする彼女に穏やかな声で問いかける。
「俺が敵だったことがある?」
俺の質問に彼女はしばし考えた。
乱れていた呼吸も徐々に静まってきている。
いい傾向だ。
「……ない」
葵は俺の目を見て答えた。
そんな彼女をギュッと抱きしめる。
雪が降っているせいか、お互いの身体は冷え切っていた。
でも、抱き合っていると、少しずつ身体が温かくなる。
人って不思議だ。
誰かがいるからあったかい。
昨日は彼女が俺を悪夢から解放してくれた。
今日は俺が絶対に葵を笑顔にする番。
「しっかり覚えておいて。俺は敵じゃないよ。それと、葵が解雇された理由も知ってる」
真摯な目で伝えると、彼女はか細い声で「……知ってたんだ。逃げて……ごめんなさい」と謝った。
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