エリート弁護士は独占愛を刻み込む
昔を思い出したのか、葵は少しムッとした表情になる。
普通なら微笑ましく思えるのだが、ふたりのやり取りにちょっとジェラシーを感じた。
本当の姉弟じゃなかったら、今持っているヘラをボキッと折っていたかもしれない。
そんな俺の心情を彼女に悟られぬよう、笑って学くんから教えてもらった情報を口にする。
「そう言えば、学くんが葵がどこでも寝るって言ってたな」
「え?いつの間にそんな話したんですか?」
ギョッとした顔をする彼女に向かってフッと微笑んだ。
「葵が寝てる間にね。おっ、いい感じで焼けてきた」
ヘラでお好み焼きを裏に返すと、じっと見ていた葵が俺を褒めた。
「やっぱり恭吾さんって手慣れてる」
「なにやっぱりって?ただひっくり返しただけじゃないか」
こんなの誰でもできると思う。
「恭吾さんなんでもそつなくやっちゃうから。なんか手つきがプロですよ」
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