エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「じゃあ、弁護士辞めたらお好み焼き屋にでもなろうかな」
ノリでそんな発言をしたら、葵は目を丸くした。
「冗談でしょう?」
「うん、冗談」
そんなたわいもないやり取りをするうちにお好み焼きが出来上がった。
俺がかつお節、青のり、ソース、マヨネーズ等をのせて仕上げをすれば、葵はフフッと笑った。
「こういう料理って男の人がやると美味しく見えますよね?」
「俺が焼いたんだから美味しいはずだよ」
ニコッと笑いながら、まず葵の分を皿にのせて彼女に手渡す。
「あっ、すごい自信」
「そりゃあ、いっぱい愛情込めてるから」
そんな軽口を叩いたが、それは嘘ではない。
彼女に喜んで欲しいから、いろいろ考えてうちでお好み焼きをすることにしたのだ。
イブの夜は誰にも邪魔されず、ふたりだけで楽しく過ごしたい。
自分の分も皿にのせると、頂きますをして食べ始めた。
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