エリート弁護士は独占愛を刻み込む
葵の目を見て告げれば、彼女は幸せそうに「そうですね」と相槌を打った。
「葵、ロウソク消して」
俺が合図すると、彼女がフーッと息を吹きかけて火を消す。
その様子を俺は動画に撮った。
再び部屋の電気をつけてケーキを切り分けると、シャンパンをグラスに注いで彼女に手渡す。
「今日は酔い潰れて寝ちゃっても平気だよ」
「うっ、あの時は飲みすぎちゃって」
前にバーで飲んだ時のことを反省しているのか、彼女は気まずそうな顔をした。
「俺の前だけなら許す。乾杯」
笑いながらグラスを重ねたら、葵はわざと怒った顔をして突っ込んだ。
「何様ですか!」
「うーん、葵のなんだと思う?」
意地悪く聞き返すと、彼女は言葉に詰まった。
「え?なんで……私が?」
「お互い共通の認識を持つことが大事だから確認しておこうと思って。で、俺は葵のなんなの?」
葵に回答を迫れば、彼女は俺の反応を確認するかのように自信なさそうに答える。
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