エリート弁護士は独占愛を刻み込む
俺がそう指摘したら、晶は一瞬黙った後、男に戻った。
『……お前、鋭すぎだ』
「そんなことより、お前に頼みがあるんだけど」
真剣な声で話を切り出す。
『何だよ?高くつくけど、いいのか?』
俺様口調の晶にチクリと言った。
「お前には貸しがあるよね?今朝お前が葵を誘惑しようとしたのを許してやっただろう?」
『俺に貸しを作るつもりであっさり引いたのか?相変わらず策士だな』
「本題に戻るが、葵の不当解雇の件、正面切って争わないことにした」
『それじゃあ泣き寝入りするのか?』
今日の葵の悲痛の表情が忘れられない。
それに、今日見た社長秘書の葵を馬鹿にしたような顔も忘れない。
胸の奥から怒りが込み上げてくる。
あの女……絶対に許さない。
「いや、泣き寝入りなんかしない。ちゃんと報復はするさ。ただ、葵は関わらせないだけ」
今日の葵の状態を見て強く思った。
彼女はまだ立ち直れていない。
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