エリート弁護士は独占愛を刻み込む
自慢ならぬ自虐ネタを披露したら、恭吾さんは私に疑いの眼差しを向けた。
「それボーッとしてて相手がなに言っても気づかなかったってオチじゃない?」
「いえ、私そんな鈍くないですよ」
真顔で否定するも、彼の冷ややかな視線が私に突き刺さった。
「俺が何度警告してもひとりでホイホイ晶のとこに行って襲われそうになったのは誰?」
それは女装の晶さんに慣れちゃって警戒しなかったから……と言い返そうかと思ったけどやめた。
こういう話題に関して恭吾さんはめちゃくちゃ厳しい気がする。
でも、それは私を大切に思っているからだよね。
「……私です。すみません。今後は気をつけます」
今度は反省して謝ると、恭吾さんは優しい目で私の頭をよしよしと撫でた。
「わかってくれればいい」
上の兄弟がいないせいか、今みたいに頭を撫でられると嬉しい。
「このままベッドで過ごしたいけど、今日も仕事があるからね。朝食は俺が作っておくから葵はシャワー浴びてきたら?」
< 244 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop