エリート弁護士は独占愛を刻み込む

「なんで？」
その顔は少しニヤニヤしている。
私がここで裸にならない理由なんて頭のいい彼なら察しがついているだろうに。
「……裸見られるの恥ずかしいから」
ボソッと呟いたら、彼はフッと笑った。
「今更だよ。もういっぱい見てるのに」
「でも、恥ずかしいの！」
声を上げて言い返す私を彼は面白そうに見た。
「まあそこが葵の可愛いところだよね。十年後も同じこと言いそう」
確かに言っちゃうかも。
男の人の前で裸になるのは抵抗がある。
まだ部屋が暗くて相手も脱いでいるならいい。
でも、洗面所は明るいし、彼は服を着ている。
いつの間にか恭吾さんの歯磨きは終わっていて、彼は「じゃあ、朝食作って待ってる」と私の肩をポンと叩いて出て行った。
こんな調子でずっと彼にいじられそう。
シャワーを浴びてダイニングに行くと、テーブルの上には甘い香りのホットケーキが置かれていた。
「葵、冷めないうちに食べよう」