エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「へえ、そんなこと言っていいの?」
ニヤリとして葵に確認したら、彼女は「うっ……」と言葉を詰まらせる。
そんな俺たちのやり取りを見て気を利かせたのか、正一さんはコートを羽織って「では、僕はこれで。よいお年を」と優しい笑顔でオフィスを後にした。
そんな彼の顔は幸せに満ちていたように思う。
愛する奥さんが家で待っているから当然か。
彼は正月にハワイにハネムーンに行くらしい。
「さて、俺たちもそろそろ出ないと」
腕時計をチラリと見て葵に言った。
時刻は午後六時十分。
パソコンの電源を落としてコートを着ると、葵もコートを羽織ってバッグを手にする。
オフィスを出て玄関に向かえば、祖母の誕生パーティに出席する他の面々もいた。
宗一郎さん、晶、涼太に萌音ちゃんが俺と葵を一斉に見た。
「みんな揃ったところで行こうか」
宗一郎さんが事務所の鍵を施錠し、みんなに声をかける。
そして、事務所から徒歩十分ほどのところにある高級ホテルに皆でぞろぞろと向かった。
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