エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「これが誕生日パーティですか?普通もっとこじんまりしたものじゃあ……。なんか有名人もいません?」
会場に入った途端、葵は青ざめる。
「うーん、どうだろうね。俺も誰が出席してるか詳しくは知らないんだ。結婚式の披露宴みたいなものだよ」
気を楽にさせようとするが、彼女は俺の言葉を全力で否定した。
「いや、絶対に違います!私……帰ろうかな」
後ずさる彼女の腕をガシッと掴む。
「ここまで来てなに言ってるの?それに、もう無理だと思うよ。祖母がこちらにやって来た」
正面から淡いピンク地に菊の古典柄の着物を着た華子さんが笑みを称えながらやって来る。
彼女の後ろには俺くらいの年の男性秘書がいた。
なかなかやり手の秘書で、祖母のお気に入りだ。
俺の視線の先を見て葵が声を上げた。
「あっ!抹茶チョコのおばあちゃん!」
「あら、このお嬢さんは確かコンビニで会った……?」
祖母が葵を見て目を見開く。
お互い驚いた顔で見つめ合っているので、俺が間に入った。
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