エリート弁護士は独占愛を刻み込む
彼女を俺の家族に紹介しようとしたら、華子さんが俺の言葉を遮って自慢げに葵を紹介した。
「あら、まあそうなの?本当に?」
母が嬉々とした顔で葵を見れば、親父も「ほお」と葵を興味深げに見る。
去年の祖母の病気のこともあって、父と兄とはまだ仲がいいとは言い難いが和解はしている。
特に祖母の前では喧嘩はしないというのが俺たち親子の暗黙の了解になった。
「葵、俺の家族と兄だよ。父は総合商社の黒瀬の社長で、兄が副社長をしているんだ」
華子さんの紹介に顔を引きつらせている葵に家族を紹介すれば、葵は「あの黒瀬の!」と声を上げ、次の瞬間、石化した。
予想通りの反応。
あまり父が黒瀬の社長とか言いたくなくて彼女に伝えていなかったが、こんなに驚くなら言っておいた方がよかったかもしれないな。
「恭吾、お前伝えてなかったのか?」
衝撃を受けて固まっている葵を見て、兄が声を潜めた。
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