エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「言ったらすぐに逃げるタイプだからだよ」
「へえ。金目当てじゃないなんて、いい子なんだな」
「とびきりのね」
フッと微笑する俺に、兄は「はいはい、ご馳走さま」と苦笑いし、うちの家族に声をかけ注意する。
「みんないくら恭吾が女の子連れて来たのが初めてだからって、興奮しすぎだ」
そこへタイミングよく晶や涼太たちが現れ、場が盛り上がる。
葵もうちの家族とだいぶ打ち解けた頃、秘書の佐竹さんが戻ってきて、赤いベルベットの箱を祖母に渡した。
「葵さん、ちょっとこっちへ来て」
祖母が赤い箱から五カラットはありそうなダイヤのネックレスを取り出し、葵を手招きする。
「これをつけてみて」
「え?こんな高価なものをですか?」
ネックレスを見て葵は目を丸くする。
「私も気に入っているのだけど、もうこういうデザインは私のようなおばあちゃんがつけるのは厳しいのよ」
ふふっと笑いながら祖母は葵の首にネックレスをつけて、俺を見た。
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