エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「いいわね。どうかしら、恭吾さん。よく似合ってると思わない?」
「そうですね。そのドレスにピッタリ合います」
俺はにっこりと笑って頷いたが、葵はあたふたした様子で祖母に訴えた。
「いや、でも華子さんの大切なものを私がつけるわけには……」
「もう私のものではないわ。今からあなたのものよ。そのネックレス差し上げます」
祖母は葵を気に入ったのか、気前よくプレゼントする。
多分何千万もする代物だ。
「きょ、恭吾さん〜」
葵が俺のスーツの袖を掴んで助けを求めたが、笑って返した。
「華子さんはうちの親族の中で一番強いんだ。素直にもらっておくといいよ」
「電子マネーの時のお礼よ」
華子さんは目を細めて微笑むが、身内の俺には圧力をかけているようにしか見えない。
だが、葵は怯まず、祖母にはっきりと言った。
「あの時はチョコを頂きましたし、もらいすぎです!」
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