エリート弁護士は独占愛を刻み込む
葵の発言に俺の家族は皆一瞬唖然となったが、より好意的というか、ある意味尊敬の眼差しを彼女に向けているように思う。
祖母も自分にはっきり物申す葵を気に入ったようで、今度は身内でも滅多に見ない優しい笑みを浮かべた。
「ではこう考えて。あなたが恭吾さんのそばにいてくれるお礼よ。恭吾さんがこうして明るく笑えるのもあなたのお陰だわ」
祖母の思いが葵にも伝わったようで、葵は祖母をまっすぐに見て礼を言った。
「……ありがとうございます」
葵の表情を見て、彼女は俺の正体を知ってもそばにいる覚悟ができたんだと確信する。
でなければきっと断っていただろう。
その後も和やかに話をしていると、ある親子が遠慮がちに祖母に声をかけて来た。
「華子さま、今日はお招き頂きましてありがとうございます」
それは『天宮鉄鋼』の天宮社長とその娘の麗子。
天宮鉄鋼は業界で五本の指に入る大企業だが、うちの一族が経営する黒瀬と比較すると格下。
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