エリート弁護士は独占愛を刻み込む
イブの夜に祖母に頼んでパーティに呼んでもらったのだ。
葵は天宮麗子に気づいて顔を強張らせたが、俺は彼女の手を強く握り、耳元で囁いた。
「俺がいるから大丈夫だよ」
「うん」
葵は俺の目を見て小声で頷く。
祖母は俺の葵が天宮鉄鋼の娘のせいで不当に解雇されたことを知っている。
だが、素知らぬ顔をして挨拶した。
「天宮さん、来てくださって嬉しいわ。そちらはお嬢さん?」
「はい。ひとり娘の麗子です」
天宮社長は緊張した面持ちで答え、横にいる娘にも挨拶するよう促す。
「天宮麗子です。お誕生日おめでとうございます。そのお着物もとてもよくお似合い……あっ!?」
天宮麗子がハッとした表情になり、忌々しげに葵を指差した。
「どうしてこの女が!」
「葵さんは私の孫の大事な婚約者よ。孫は弁護士をしているのは天宮さんはご存知だったかしら?」
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