エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「華子さまのお孫さんが弁護士とは……。華子さまも鼻が高いでしょうな」
「さあ、どうでしょうか。ところで、ちょうどいい機会ですので、私のクライアントのことでお話をさせて頂きたいのですが」
俺がそう話を切り出すと、社長は怪訝な顔をする。
「クライアント?私たち親子とどういう関係が?」
「私のクライアントは丸岩本社の秘書室に在籍している四人の社員の方々で、この度そこの社長秘書であるお嬢さんをパワーハラスメントで訴えることになりました。こちらのふたりの弁護士も代理人として対応させてもらいます」
晶と涼太に目をやり、彼らを紹介したら、天宮親子は寝耳に水の話に顔面蒼白になる。
ショックで言葉をなくす親子に容赦なく告げた。
「予め言っておきますが、示談には応じません」
チラリと天宮麗子に目を向けると、彼女の目は凍りついていた。
だが、葵が君から受けた苦痛はそんなものではない。
「あと、お嬢さんの勤務先の丸岩からも依頼を受けていまして、業務上横領罪で警察に本日付けで被害届を出しました。近いうちに警察からの呼び出しがあるかと思いますが、素直に応じられた方が今後のためにもいいと思いますよ。それでは、失礼します」
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