エリート弁護士は独占愛を刻み込む

「恭吾さーん、聞いてください。さっき俳優の坂田優馬さんと握手してきたんですよ。もうカッコよくてキュン死しそうになりました！」
ニコニコ顔で報告する葵の足取りはすごく軽い。
さっきまで緊張していたのにな。
坂田優馬は四十代の俳優で、二十〜四十代の女性に人気がある。
演技派で渋い刑事役をやっている人だ。
「それはよかったね」
にこやかに相槌を打つが、内心では面白くなかった。
俺とどっちが好き？なんて質問をしてみたくなったが、グッと堪える。
「でも……一番カッコイイのは恭吾さんですよ」
葵が俺の腕に手を絡め、クスッと笑う。
俺が少し拗ねているのがわかったのだろうか？
彼女が俺をじっと見つめてきて、衝動的にキスしたくなった。
だがここは人目がある。
とりあえず祖母への挨拶も済ませたし、大事な仕事も終わった。
「葵、行くよ」
葵の手を掴んで足早に会場を出る。