エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「ちょっ……恭吾さん、どこに行くんですか!」
小走りでついてくる彼女に「俺たちの部屋」と告げて部屋に戻り、奥にあるベッドルームに行く。
「途中で抜けていいんですか?みんな心配して探しにくるんじゃあ?」
「大丈夫だよ。そんな野暮な人間はいない。きっとホテルの部屋で愛し合ってると思ってる」
不安そうな顔をする葵に向かってフッと笑みを浮かべ、彼女をベッドに押し倒してキスをする。
ああ、いつだって彼女はチョコより甘い。
そのまま俺たちは明け方まで愛し合った。


その年の大晦日の夜、俺と葵は浅草の浅草寺にいた。
言わずと知れた日本有数の観光地。
正月三が日は初詣客も多く、参道には人が溢れている。
今日もここは多くの人で賑わっていた。
「完全防備で来たのに寒い〜」
葵が俺の腕に抱きついて暖をとる。
深夜とあって気温は二度とかなり冷え込んでいて、参拝を並んでじっと待つのはなかなかキツイ。
「一回戻って明日の朝出直す?」
そう提案するが、彼女は首を縦に振らない。
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