エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「それはね、下見だよ」
俺がニヤリとしてそう答えたら、葵は首を傾げる。
「下見?」
「そう。正月に葵のご両親と学くんを東京に招待しててね。東京見物に連れて行ってあげようかと」
俺の話を聞いて、彼女は素っ頓狂な声をあげた。
「え?ええ〜!」
「もういい加減ご両親に本当のこと言った方がいいよ」
諭すように言えば、彼女は少し俯き加減に返事をする。
「……そうですね」
「それに末長いお付き合いになるから、葵のご両親にもキチンと挨拶しておきたいんだ」
俺の言葉に葵はパッと顔を上げた。
「……恭吾さん」
「十年後も二十年後も……それから五十年後も、一緒に初詣に来よう。家族も増えてるかもしれないけどね」
優しく微笑めば、葵は目を潤ませながら俺の目を見てしっかりと頷いた。
「はい」
それは後から学くんに指摘されて気づいたけど、プロポーズだったんだと思う。
彼は「今度はちゃんと本人に言えてよかったですね。恭吾さんを兄さんと呼ぶ日も近いかな」と弾けるような笑顔で笑っていた。
プロポーズに早いも遅いもない。
自分の運命の相手かは直感でわかるもの。
無意識にプロポーズの言葉を口にしてしまったのは、葵が俺のそばにいるのが当然だと思っているから。
彼女と一緒にこれからの人生を歩んでいきたい。
ずっとーー。


The end.

最後までお付き合い下さりありがとうございました。
スマホの調子が悪くて、誤って完結ボタン押してしまいました。数時間差で完結となりましたが、混乱させてしまってすみません。ホント、申し訳ないです。
滝井みらん
2019.11.18

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