エリート弁護士は独占愛を刻み込む
だって、この容姿だから、女に凄くモテる。
私に手を出す必要などないし、彼からはいやらしい雰囲気を感じない。
「その安心が危険って言っても無駄だろうな。葵は危機感ゼロでお兄さんは心配だよ」
恭吾さんは私をまじまじと見ながらそう呟いて、盛大な溜め息をついた。
誰がお兄さんだ!誰が。
酷く失礼なことを言われてるような気がするが、ここで言い返すと、長々とお説教されそうだ。
ここはスルーして話を変えよう。
「恭吾さん、土鍋ってどこですか?今日は寄せ鍋にします」
「ああ。ごめん。使わないからキッチンの上の棚に置いておいたんだ」
コートを脱ぎながらリビングに向かう恭吾さんの後をついて行くと、彼は奥のキッチンの棚の一番上を開けて箱に入った土鍋とカセットコンロを出した。
「はい、これ」
「どうも。まだ新品じゃないですか。彼女と鍋とかしなかったんですか?」
さりげなく恭吾さんの情報を聞き出そうとしたら、急に彼はうんざりしたような顔で答えた。
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