エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「そお?俺は好きだよ。葵の作ったお味噌汁」
不意打ちに彼にそんなことを言われたものだから、ドキッとした。
「き、恭吾さん、インスタントのお味噌汁でも美味しいって言いそう」
照れ隠しにそんなことを言えば、彼はフッと微笑した。
「そう思うなら、葵は俺のことまだ全然わかってないね」
「え?」
突っ込んで聞こうとしたら、鍋が煮え立って……。
「ほら、出来た。食べよう。美味しそうだよ。葵も座って」
恭吾さんが優しく微笑む。
私が着席すると、ふたりで鍋に舌鼓を打った。
「やっぱ冬は鍋ですね〜。ヘルシーだし、身体もあったまる」
ホクホク顔でエビを頬ばる私を見て恭吾さんが不思議そうな顔をする。
「あったまるって……ショートパンツ穿いて言われてもねえ。寒いならもっとあったかい格好したら?」
「日中ストッキング穿いてたから楽になりたいんですよ。わかるでしょう?」
同意を求めるも、彼は首を縦に振らない。
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