エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「ごめん。穿いたことないからわからないな。晶ならうん、うん、頷くだろうけどね。実家でもそんな格好してるの?お父さんなにも言わない?」
「父は言いませんけど、三つ下の弟は、太い足出すなって言うんですよ」
おぞましいものでも見たかのように弟は顔を背ける。
「……弟君に同情するよ」
弟を憐む恭吾さんがわからない。
「なんでですか?姉をけなすなんて許せない。小さい頃はいろいろお世話してあげたのに」
うちは両親が共働きで弟の面倒は私が見ていた。
母が病気の時だって、私が弟のお弁当を作ってあげたのだ。
この場にいない弟への不満を口にすると、恭吾さんは私をなだめた。
「けなしてるわけじゃないと思うよ。姉だって身近な異性だから意識するんじゃないかな?」
「はは……まさか。私は弟が短パン一枚で家の中を歩いてても気にしませんよ」
「女と男じゃあ違うのかもね。それか、葵が無頓着過ぎるのか」
「何気に失礼ですよ、恭吾さん」
ギロッと睨みつけると、彼は笑いながら謝った。
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