エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「ははっ。ごめん、ごめん。鍋の締めはなににする?」
「おじやのつもりでしたけど、そんなこと言うならナシにしようかな?」
意地悪く言えば、彼は妖しく目を光らせた。
「ふーん。食欲が満たされなかったら、俺なにするかわからないよ」
その不気味な発言に身体がゾクリ。
「な、なにするつもりなんですか?」
「葵のご家族に会社辞めたこと連絡しようかなあ?まだ伝えてないんだよね?」
人の弱点を確実につく彼。
実は実家の両親に心配をかけたくなくて、前の会社を退職したことはまだ伝えていない。
「うっ、それは卑怯ですよ!」
「だったら、おじや食べさせて」
ニコッととびきりの笑顔を見せる彼に恨みがましい視線を向けた。
いつもこんな感じで恭吾さんが私を弄るものだから、上司でこの家の主人なのにちっとも敬えない。
食事を終え、ふたりで後片付けを済ませると、私、恭吾さんの順にお風呂に入り、リビングのソファで寛ぐ。
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