エリート弁護士は独占愛を刻み込む
仕方がないので、俺が葵のメイクを落とした。
彼女は人形のようにされるがまま。
優しくするだけではダメなのかもしれない。
今の彼女を見てそう思う。
メイクを落とし終えると、彼女をソファから立たせてバスルームに連れていった。
何時間駅前にいたのか知らないが、彼女の身体は冷え切っている。
身体を温めないと。
『シャワーを浴びてあったまってくるといい』
そう声をかけたが、彼女はなにも返事をせず突っ立ったまま。
……これはダメだ。
悪いとは思ったが、服を着たまま彼女をシャワーの下に立たせて、お湯を出す。
すると、驚いた彼女が声をあげた。
『キャッ!なにこれ!』
『なにってシャワーだよ。身体があったまるまで出てくるな』
ニヤリとして命じれば、彼女は激昂した。
『なに考えてるんですか!洋服がびちょびちょ!』
どうやら俺の作戦は成功したらしい。
ようやく姫が正気に戻ったようだ。
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