エリート弁護士は独占愛を刻み込む
『人の話聞いてます?私の服が濡れて大変なことになっているんです!』
キラリと光る彼女の目を見て安堵した。
とても生き生きとしている。
へえ、そんな風に怒ることもできるんだな。
『脱衣所の洗濯機自由に使っていいよ。クリーニングに出したければ、明日の朝ここのコンシェルジュに頼めばいい』
何食わぬ顔で返せば、彼女はソファの近くのテーブルをドンと叩く。
『それじゃすぐに帰れないでしょう!』
『仕事解雇されたんだから、すぐに帰る必要はないんじゃない?それに寮も追い出されるんだよね?あっ、そうだ。寮の住所教えてくれない?引越し業者手配するから』
俺の質問に彼女はひどく慌てた。
『待ってください!私はまだ引っ越すなんて言ってません!それにどこに引っ越すって言うんですか!』
そう疑問に思うのが正常な反応。
ちゃんと言葉のキャッチボールができてるし、いい調子だ。
駅にいた時はまともな判断ができる状態じゃなかったから、俺にホイホイついて来たのだろう。
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