エリート弁護士は独占愛を刻み込む
俺がそう言うと、彼女は呆気に取られた顔をした。
『え?あなたの分も?』
『なにか問題ある?家事をする条件だったよね?』
故意に意地悪く言うと、彼女はムッとした顔で返事をした。
『わかりました、ご主人さま!』
鼻息荒く彼女はリビングを出て行く。
『相当怒ってるな』
でも、元気がないより全然いい。
彼女がいなくなると、クスッと笑った。
優しくするよりも意地悪な方が今の彼女には効果がある。
『これから楽しくなりそうだ』
その日から俺と彼女の同居生活が始まった。
次の日には葵の寮を引き払い、彼女を法律事務所の面々に紹介して受け入れてもらった。
『彼女は朝比奈葵さん。今日から俺の秘書をしてもらうことになったのでよろしく』
自分担当の秘書がついたのは、事務所では俺だけ。
今までは代表のお嬢さんの萌音ちゃんが事務所を手伝ってくれていたし、パラリーガルの正一さんも雑務もこなしていたから秘書なんて必要ないと思っていた。
< 54 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop