エリート弁護士は独占愛を刻み込む
しかし、葵がいることで正一さんの負担が減って、彼は法務事務に専念できている。
それに、以前も秘書をしていたのか、葵は業務に慣れていて使える人材だ。
代表の宗一郎さんは『いい子見つけて来たね。女の子だし、うちの事務所が明るくなっていいよ』と葵のことを褒めていた。
確かに、オフィスの空気が変わったように思う。
なんていったらいいのだろう。
彼女がいるとオフィスにかわいい花が咲いたかのようで、心が和む。
仕事もテキパキやる彼女がどうして前の会社で突然辞めさせられたのか。
外資なら突然解雇されるなんて頻繁にあるけど、彼女がいたのは国内の大手電気機器メーカー。
なにか理由がありそうだが、俺から詳細は聞かないことにした。
彼女は自分の生活を立て直そうと頑張ってる。
今は辛い過去のことなど忘れてほしい。
「おやすみ、葵」
彼女にそっと布団をかけてやると、間接照明を消して寝室を後にし、書斎でしばらく仕事をした。
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