エリート弁護士は独占愛を刻み込む
ドア・ツー・ドアで十五分でオフィスに着くといっても、朝食の準備もあるし、ボーッとしている場合じゃない。
すぐにベッドを抜け出し、床に落ちてクシャクシャになった部屋着を身につけて洗面所に行くと、彼が歯磨きを終えた後だった。
私を見て恭吾さんがクスッと笑う。
「葵、よく顔洗った方がいいよ。よだれのあとがついてるから。美味しい食べ物の夢でも見た?」
その発言にポカンとする私をおいて彼は洗面所を出ていく。
ハッと我に返って鏡をよく見たら、うっすらよだれのあとがついていた。
「いや〜!」
そりゃあ、よだれついた女なんか襲う気にはならないよね。
いや、そもそも女と思われていないかも……。
下着姿であったことより、よだれのあとを見られたことの方がダメージが大きい。
洗顔と歯磨きうを済ませてコンタクトをつけるとリビングに向かい、朝食の準備をする。
昨日ご飯を炊き忘れたから今日はパンだ。
< 60 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop