エリート弁護士は独占愛を刻み込む
目玉焼きとソーセージを焼いてダイニングテーブルに並べていると、スーツに着替えた恭吾さんが現れた。
「飲み物、コーヒーにします?」
そう尋ねると、彼はニコッと微笑んだ。
「うん。砂糖の代わりにチョコつけといて」
「はいはい」
あくまでも、この人のゲン担ぎはチョコ一択らしい。
朝からチョコってすごいな。
「今日はトースト一枚かと思ったけど、ちゃんと他の料理も作ったんだ。偉いよ、葵」
穏やかな声で言って席につく彼。
皮肉に聞こえてしまうのは、今日は寝坊してマズッたと思っているからだろうか。
「あー、ごめんなさい。明日はちゃんと起きて作ります!」
手を合わせて謝れば、彼はフッと微笑する。
「明日の朝食、なにが出てくるか楽しみだなあ」
この男は〜!
フライ返しを持った手がブルブルと震える。
恭吾さんに恨みがましい視線を向けていたら彼はしれっとした顔で言った。
「葵も早く食べたら?遅刻するよ」
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