エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「葵ちゃん、悪いけど恭吾君のお願い聞いてあげて。お昼休みはずらしてくれていいからね?ね?」
私達の声が聞こえていたのか、手を合わせて私に向かって拝む宗一郎さん。
新参者の私にそこまでしないでくださいよ。
大ボスに言われては、もう従うしかない。
「……わかりました。買いに行きます」
仏頂面で返事をする私に宗一郎さんは満面の笑顔で「葵ちゃん、ありがとう。今度美味しいケーキ買ってきてあげるね」と言って去って行く。
そんな大ボスに気を取られていたら、恭吾さんは私の手に封筒と長財布を持たせようとした。
「葵、いい子だね」
目を細めて私を褒める彼。
この策士。
私が騒げば宗一郎さんが現れるのわかってたんでしょう!
キッと恭吾さんを睨みつけ、財布は彼に突き返す。
「財布はいりません。後でレシート渡すので、その時にお金を頂きます」
「了解。二十個入りのを二箱頼むよ。ひとつは自宅用ね。気をつけて行って来て。途中軟派されてもホイホイついてっちゃ駄目だよ」
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