エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「葵、それでカクテル三杯目だけど大丈夫なの?」
どの程度お酒が飲めるか分からなくて確認すると、彼女は空になったグラスを弄びながら返した。
「だってカクテル美味しいんだもん」
子供のような口調。
葵、酔ってないか?
晶も同じことを思ったのか、前の席に座っている葵に尋ねる。
「葵ちゃん、そんなに飲んでひとりで帰れるの?家はどこ?」
「前の会社にいた時は代々木の独身寮に入っていたんですけど〜、今は事務所の近くれすよ〜」
お酒が入ってご機嫌の葵はニコニコ顔で答える。
彼女のこの発言で確信した。
これはかなり酔っているな。
今朝の一件で少しは男に対して警戒心を持つと思ったのだが、どうやら彼女は全然懲りていないらしい。
「事務所の近くって赤坂ってこと?葵ちゃんて実は社長令嬢とか?」
葵の返答に少し驚いた晶が突っ込んで聞く。
「そんなんじゃないれすよ。父はサラリーマンだし、群馬の田舎から出てきた普通の女の子れす〜。ふふ」
< 75 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop