エリート弁護士は独占愛を刻み込む
だが、この種の事件では裁判になれば、敗訴するケースが多く、世間に名前を知られて家族も苦しみ、社会的にも大きなダメージを受ける。
そこで示談での解決をクライアントに提案した。
俺もクライアントの言葉を信じていたが、裁判で戦うのは不利だと思ったから。
やっていなくてもお金を出せば、被害は最小限で済む。
クライアントもそれで納得し、被害者の家族と交渉して百万円の示談金を払って解決した。
それで一件落着したはずだったのだが、示談成立後に新たな事件が起こった。
示談が成立したのは三月で、新たな事件が起こったのが四月。
新たな事件というのは、被害者側の女の子によるクライアントのお嬢さんへの虐め。
痴漢事件発生時、ふたりは別々の中学に入っていて顔も知らなかった。
だが、示談成立後にふたりは同じ高校に入学し、不運にも同じクラスになった。
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