エリート弁護士は独占愛を刻み込む
晶を軽くあしらったら、彼はムッとした顔で声を荒らげた。
「最近、別れたのよ!」
「それはご愁傷さま。俺たちは帰るよ。葵も早くベッドで寝たいだろうし」
胸ポケットから財布を取り出そうとしたら、涼太に止められた。
「いらない。お前のお祝いだろ?」
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらう。葵、帰るよ」
涼太に向かって微笑むと、葵に優しく声をかけた。
「……ん?恭吾さん……今は……チョコ……買いに行けませんよ」
ムクッと顔を上げる葵。
だが、目の焦点が定まらずボーッとしている。
「はいはい。わかってるよ。しっかり立って」
葵に手を貸して立たせると、涼太と晶に「じゃあ、また明日」と挨拶して店を後にした。
店の前でタクシーを拾い、自宅へ帰れば、葵は玄関に座り込む。
「もう動けませーん」
「俺のこと子供って言うけど、どっちが子供だろうね」
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