エリート弁護士は独占愛を刻み込む
「はは……」
あの時はこの世の終わりかっていうくらい落ち込んでいて、酷い状態だった。
でも、恭吾さんがあんなだから沈んでる暇はなくて、気づけば彼にガミガミお説教するようになって、遠慮がなくなった。
お陰で自分でも驚くくらいすっかりこの職場に馴染んでしまったのよね。
最初ここに来た時は挙動不審なくらいおどおどしていたんだけどな。
「恭ちゃんはあんなだけどいい奴よ。私が保証するわ。でも、恭ちゃんとの相性がよくなかったら、私のところにいらっしゃい。美容から手取り足取り教えてあ・げ・る」
晶さんの手が伸びてきたと思ったら、私の頰に触れてゾクッとした。
「あ、晶さん……」
晶さんの対応に困っていると、誰かが彼の手をパシッと叩いた。
「葵はお前の世話にはならないよ、晶。俺の可愛い秘書に手を出すのはやめてくれるかな」
それは恭吾さんだった。
彼はスッと、私と晶さんの間に割って入る。
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