エリート弁護士は独占愛を刻み込む
彼が身を屈めてきて思わずドキッ。
キスされる……!?
そう思ったのだけど、彼の手が頰に触れただけだった。
「まつ毛ついてたよ」
穏やかな顔で微笑む彼。
この笑顔が曲者だ。
きっと私がキスするんじゃないかってドキドキしたことに気づいているに違いない。
手首の痣はやはりキスマークのような気がしてきた。
でも、私にキスマークつけました?なんて恭吾さんに聞けないよ〜!
「……葵、葵?」
彼に名前を呼ばれてハッとした。
「はい?」
慌てて返事をしたら、恭吾さんが「エレベーター着いたよ。いつまで乗ってるつもり?」と私に声をかける。
「あっ、降ります!」
エレベーターを降りて恭吾さんに続いてオフィスに入るが、頭の中はパニックだった。
恭吾さんとどう接していいのかわからない。
なにを話せばいいの?
時間稼ぎにパソコンの電源を入れ、早く正一さんが来ないかとチラチラとドアの方に目を向ける。
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