エリート弁護士は独占愛を刻み込む
あっという間に夕方六時を過ぎて正一さんが「じゃあ、お先に失礼します」と控え目に挨拶してオフィスを去ると、恭吾さんの席に行って彼に詰め寄った。
「恭吾さん、このキスマークはなんなんですか!」
腕時計を外して手首の痣を見せれば、彼はうっすら笑みを浮かべた。
「葵があまりにも無防備だから、俺から愛の警告」
「はあ?意味がわかりません。悪ふざけもほどほどに……!?」
恭吾さんに説教しようとしたら、ポケットに入れて置いたスマホのバイブ音がした。
無視して話を続けようとするも、電話なのかなかなか鳴り止まない。
「いいよ、出て」
恭吾さんに優しく促され、ポケットからスマホを取り出して画面を見れば弟……学からの着信だった。
電話なんて珍しい。
「ちょっと失礼します」
恭吾さんに一言断ると、彼に背を向けて電話に出る。
「学?急にどうしたの?お父さんかお母さんに何かあった?」
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