歌舞伎町ボーイズ
 ジュンや他の先輩ホストたちがイメージする歌舞伎町は、新しいそれだった。


 実際、俺も働き始めてから、ホストはきつい職業だと分かる。


 もちろん、俺たちにとって、酒や女などは溢れ返っていた。


 欲望も結局果たされてしまえば、それ以上要らない。


 俺にとって、ユキが愛の虜だった。


 ずっと傍にいる女として。


 ――また掛けるよ。じゃあな。


「ああ。お疲れ」


 コウジに対しては適当に言っておいて、電話を切る。


 そしてスマホをテーブルに置き、ベッドに潜り込んだ。


 ユキが、


「ケン、ビール飲む?」


 と訊いてきたので、
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