歌舞伎町ボーイズ
「ああ。少しだけな」


 と返し、彼女の手から、冷えた缶ビールを受け取った。


 ユキも缶入りのカクテルを飲み始める。


 夜の遅い時間帯になっても、眠気は差さない。


 昼夜逆転だからだ。


 俺自身、真面目に働こうとは思わない。


 実際、ここ歌舞伎町での生存競争は激しい。


 高校中退で、堅気の仕事などに就かないまま、今まで来ている。


 新宿の半グレなどには、俺たちのような人間が多い。


 ヤツらは暴力団のパシリだ。


 犯罪の最前線にいる。


 俺には、ああいった連中の気持ちも十分分かっていた。


 アウトローで、滅茶苦茶な感じで。
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