歌舞伎町ボーイズ
「別にそんなことはどうだってよくて。……腹減ってない?」


「ああ。飯食うか?」


「うん。俺もさっき起きて、コーヒー飲んだだけだし」


 俺の言葉に、コウジが、


「じゃあ、そこのファミレス行こう。ネットでクーポンもらっちゃって」


 と言ってきた。


「ああ」


 頷き、歩き出す。


 互いに、嫌なことは全部忘れていた。


 人生は必ず帳尻が合う。


 全部が思い通りになるはずない。


 俺たちが過去に反吐が出るようなことを味わったのも、今の幸福のためだ。


 俺はそう思っていた。
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